玉乗り姉妹 (Balancing Act)

クラフトビールは複雑性に富んだもの、味わい深いもの、もしくは独創性溢れるもの、こういった要素をもつビールにばかり目を向けられる傾向にあり、その裏でしばしば飲み易さといった要素が見落とされているような気さえします。強烈なインパクトのあるIPAやスタウトといったビールがもつ面白さはもちろんあるものの、長い一日の仕事の後におつかれさまと肩の力を抜き平静を取り戻させてくれるのはバランス感の良くすいすいと口に運べる飲み易いビール以外にはないような気がします。

今回のリリースではこの点を表現するために２種類の異なるスタイルのビールに目を向けました。１つ目はアメリカン・ブロンド・エールで、キレがありライトで飾り気のないシンプルさをもちながら決して物足りなさを感じさせないスタイルです。もう１つはアメリカン・ウィート。小麦麦芽由来の爽やかな特徴をもち、ホップにスポットライトがあてられることも多いスタイルです。この二つのどちらかに偏ることのなく、それでいてそれぞれの特徴を感じられるようなバランスの取れたビール、つまりは何度もおかわりしたくなるような楽しんで飲めるビールに仕上げることをこのビールでは狙っております。CascadeとMotuekaホップの味わいが余計な苦みを感じさせることなく酵母由来のフルーティーなエステル感をきれいに引き立て、ゴールデンプロミス麦芽の独特な甘さとうまく合わさることで、まさに絶妙なバランス感のとれたビールとなりました！

名前の由来:ライトでキレのあるブロンド・エールと小麦由来の甘さや爽やかさを持つウィート・エールと聞けば全く異なる二つの個性のようだけど、これらが絶妙なバランスで一つに合わさった時にえも言われぬ輝きを見せるというのがわかった。それはまるで熟練した二人のパフォーマーが観客を目の前に見事な玉乗りを見せているかのよう。 息のあった姉妹風の二人は一糸乱れぬ動きでバランスをとり、玉に乗ってることを感じさせないほど自由に表現をし、観るものを沸かす。