Kyoto Brewing Co.

夕暮れに吠えろ (Barking at the Sun)

わたしたちがつくるビールは、ホップや酵母の特徴もしくはその両方のコンビネーションに重きを置いたものが多くを占めています。これは私たちがドライでキレのあるビールを特に好んでいるためではありますが、モルトの特徴は他の原料に比べて二の次になりがちというのが正直なところです。ですが時々、ビールの原料の中でも重量ベースで2番目に大きなウェイトを占めるモルトをより主役に近いところに据えたビールを作りたいという思いに駆られることがあります。
使ったことがないクリスタル麦芽やロースト麦芽の特徴を新発見したいという好奇心がこうしたビールづくりに心を向けるわたしたちの原動力です。仕込みで使うモルトが徐々にこれら新しいものに切り替わっていくことにわたしたちは心弾ませていました。今回のビールではその中でも、キャラメルやダークフルーツのような味わいが強く感じられるミディアムクリスタルとダーククリスタルモルトに焦点を当てています。色の濃いモルトは深い赤の色合いやロースト感をビールにもたらします。こうしたビールには松系や喉や鼻にガツンとくるような特徴のホップが相性の良さを発揮しますが、今回はあえて柑橘系の特徴をもつアメリカおよびNZ産ホップを合わせました。煮沸の後半に使用したChinookは樹脂のような独特の強いインパクトを、また醸造工程の後半で大量に投入したWakatuとMotuekaは香りと味わいをしっかりとこのビールに与えました。結果として、豊かなモルト感を感じられ且つドライで飲みやすい、さらにはダークフルーツのような風味やハーブや柑橘系の香りを感じられる他に無い特徴を持ったアメリカンスタイルのアンバーエールに仕上がりました。どうぞお楽しみください!

名前の由来:冬の空は潔い。水彩画のような淡い夏の空とは違い、寒い冬の空は時にすっと澄み渡る青や燃えるような赤を見せてくれる。今回のアメリカンアンバーの色もそんな冬の夕暮れのような色だ。
クリスタルモルトとローストモルトが織りなす色味は濃厚な琥珀色。 イギリスとドイツ産のモルトとアメリカ&ニュージーランド産のホップ、それにアメリカ産の酵母で仕上がったこのビールは世界の異なる場所で同じ太陽の恵みを受けて育ったものを一つに集めて形になったような作品だ。
太陽は休むことなくオセアニア、ヨーロッパ 、北アメリカの大地に活力を与えてはゆっくりと夕暮れという一番の見せ場と共に去っていく。そんな自然の神秘から今回のアメリカンアンバーが出来たと言っても過言ではない。冬の空を見上げ、また次なる大地へ進んで行く太陽にありがとうと叫びたい。

スタイル:
アメリカン・アンバー
モルト:
Maris Otter, Pilsner, Medium Crystal, Dark Crystal, Chocolate
ホップ:
ビタリング - Merkur
味・アロマ - Chinook, Wakatu, Motueka
酵母:
American Ale
ABV:
5.0%
IBU:
27
ガスボリューム (炭酸ガス含有量):
2.4