ビールへの想い
「自分たちが飲みたいビールを作れば良い」
これはある尊敬する先達から創業前の私たちへの一言。
美味しいビールは日本中にたくさんあるけれども、ビールの多様性を知る私たちは、もっと他のスタイルも味わいたいと感じていた。そして、同じように思っている人はたくさんいるに違いない。そのような思いから京都醸造を立ち上げた。
私たちのビール造りのベースとなったのは、アメリカとベルギーのビール。
アメリカはここ数十年の間、クラフトビールの世界を切り拓いてきたクラフトビール界のパイオニアである。毎年のように新種のホップがリリースされ、無数の醸造家により異なる材料と醸造法を混合させたハイブリッドビールやABV(アルコール度)及びIBU(国際的に使われる苦味を図る指標)が極端に調整された新しいスタイルのビールが生み出されている。私たちも彼らのように既存の枠に捕らわれない新しいスタイルのビール造りに挑むことに決めた。
一方でベルギーは、歴史や伝統を重んじたビール造りを続ける言わずと知れたビール大国のひとつ。そんな国にも歴史や伝統だけにとらわれず、革新的なアメリカと同様に独自のスタイルにこだわる醸造家が無数にいる。自然酵母の使い分け、甘味、辛味、苦味、酸味、軽さや重さの調整により日々新しいビールが造り出されている。べルギービールとは、一口では表現しきれないほどに多様で複雑なもので、私たちを惹きつけて止まない存在。
どちらの国のビールも共に興味深く、味わい深い。しかし、双方のビールの良さのみをとりだして、掛け合わせることで、よりユニークで特別なものができるのではないかと考えた。
醸造所のハウス酵母はベルギー産、そしてホップは主にアメリカ産を使用している。この組み合わせから、今までになかった独特の味わいのビールができるのだ。しかし、これは僕たちのスタート地点に過ぎない。今後この醸造所でどのようなビールが造られ、発展していくか、私たちにとっても未知数である。