ベン・ファルク (著:ポール)

ベンジャミン(通称:ベン)はウェールズの荒涼とした丘と、まばゆくキラめく海岸線を見ながら育った。偉大なる自然に抱かれた彼は、他にやることがなかったので、時間を持て余した彼は早くからアルコールを嗜むようになった。彼が初めて飲んだビールはギネス。お酒の味を覚えてから決まって飲むのはAdnams ESBだった。いずれもウェールズのビールではない。以上のことから解るように、彼はウェールズ産にこだわりを持たない。しかし彼は、自身がウェールズ人以外に間違われると怒り出す。つまり、彼は典型的なウェールズ人である。イングランドの大学を出て、地球の裏側の日本に住むようになってもなお、この意味において彼はウェールズ人の誇りを片時も忘れてはいない。
ベンの初来日は京都大学の交換留学生としてであった。そこで日本がいたく好きになった彼は、大学卒業後に日本に戻ってくると心に決め再び日本の地を踏んだ。その地は、なぜか青森も日本海側のとある漁村だったのだが。さらに追い打ちをかけるように運命の悪戯が、彼をクリスとポールに引きあわせた。ヤケになった彼は、毎夜3人で歌い放題&飲み放題のカラオケに繰り出した。その時彼の片手にあったのは、日本の大手ビールだったと僕は記憶している。
2年後、彼は東京に引っ越し、そこでいろんなクラフトビールの勉強をしました。青森に住んでいたとき、彼はスノーボードによく出かけた。ウィンタースポーツのメッカ、長野にも度々遠征し、そこでたくさんの地ビールやクラフトビールの醸造所を知った。そこで出会った志賀高原のHouse IPAが生まれて初めて心に焼きついたアメリカンスタイルのIPAとのことだ。以來、彼はホッピーなビールを愛してやまない。今夜も彼はどこかのビアパブにいるだろう。(僕もたまに一緒にいるだろう)


クリス・ヘインジ (:ベン)
クリス・ヘインジ。合衆国はヴァージニア州、スプリングフィールド出身。人生で初めてビールを飲んだのは、かのアイルランド産のギネスでさかのぼること2001年、留学中の日本でのこと。もちろんハタチになっていた。だって、お酒はハタチを過ぎてから。それにしても、なぜギネス・・・彼の醸造哲学の根っこにあるベルギーでもアメリカでもないビールなところがちょっと面白い。
アメリカで大学にもどって、初めて飲んだドイツのビール(PaulanerのHefeweizen)がきっかけでビールというものに本格的に興味を持ったとのこと。それから程なく、まかないに2杯のビール飲めることに釣られてアイリッシュパブで働き始めた。そのときいつも選んでいたのは、ホップ中毒へのきっかけとなったHarpoon IPA。この時期、後の彼の人生に大きな影響を与える2本のベルギービールに出会っている。セゾンスタイルのお手本として、今も彼がこよなく愛するSaison Dupont。(私も、ポールもこのビールが好きた)そして、こんなビールがあるんだと価値観を大きく変えたGirardinのGueuze。(これは人によって好き嫌いのあるビールだと思う)
ブルワーになるにはどうしたらいいのか?おそらくたいていのプロのブルワーがそうするように、彼もとりあえず自家醸造から始めた。自家醸造で出来ることをやりきったあと、基礎からちゃんと勉強するために意を決してAmerican Brewers Guildに入学。それからPort Brewing/Lost Abbeyでのインターンシップに行く機会を得た。この醸造所でアメリカン・ベルジャンの両方を造るのを目の当たりにしたのは、今の彼にとってとても大きな財産となっている。
彼女(今の奥さん)の待つ日本に戻って来てからは、醸造責任者の佐藤栄吾氏と同じ志を持つ若者が修行を行っている志賀高原ビールで研鑽を積んだ。京都に住んで7年が経った。彼はこの職人の街で、職人技を磨き上げようと意気込んでいる。

 


ポール・スピード (作:クリス)

カナダ出身のポールは、つい最近までクラフトビールに興味がありませんでした。というのも、あえて名前は言いませんが、彼の初めて飲んだ地元のビールがおいしいものではなかったからです。日本に来る以前にクラフトビールを知っていたものの、トロントで造られたラズベリービールを飲んだときも、特にビールの面白さを感じるには至りませんでした。それを知るのは日本に来てからです(たぶん、僕のおかげです)。
ポールとは2004年に青森のJET Programで初めて会いました。(ベンとはその翌年に会うことになります)が、そのときはまさかポールと醸造所を開くことになるとは思いもしませんでした。当時、二人で醸造所をやったら?なんて言われたら、多分ビールを鼻から噴いていたことでしょう。
ポールのクラフトビールに対する見方が変わったのは、彼が東京に引っ越してからのことです。東京にはたくさんの種類のビールがあって、こんなの初めて♡なビールに出会いました。例えば、Russian RiverのSupplication(実は、ポールが初めて飲んだサワーエール) だとかMikkellerとAnchorage Brewing がコラボしてるファンキーなブレタノマイセス入りInvasion Farmhouse IPA、この2本は彼にクラフトビールって 面白い!と思わせたビールです。あと、僕の造ったIPAも彼の人生にかけがえのない1本です。このIPAのせいで、まっとうな金融マンを辞めてキツい上に、給料の安いビール業界に転職するハメになったとポールは言ってます。でも、いいじゃないか。今のポールのほうが活き活きと仕事してるし。目下、ポールが好きなビールは以下の3本。

① 僕とベン、つまり3人ともが好きな、 Saison DuPont。
② それから、Cantillon’s 100% Lambio Bio Gueuze。
③ アメリカのDeschuttes醸造所が造るthe Black Butte Porter。
今、ポールがこうしてクラフトビールの業界に入ったのは、ポールいわく、「クリスのせいだ」というけれど、僕にいわせたら、「クリスのおかげだ」と言うべきところだよね。そうじゃなかったら、今日もあくせくと遅くまで残業してたかもしれないし。じゃあ、今は?って訊かれたら、やっぱり遅くまで残業してもらうつもりだよ。もちろん、前の仕事よりも安い給料で!笑