Kyoto Brewing Co. - Wholesale
ひょっと (Hyotto)
「ひょっとしたら」の発想から生まれた、ベルジャン酵母とチオールが織りなすトロピカルで革新的なIPA
「ひょっとして」
「ひょっとするかもしれない」
醸造は科学であり、同時にひらめきでもある。理論を積み上げながらも、最後に背中を押すのは直感。「ひょっと」は、そんな仮説と挑戦を形にするミニシリーズ。
既成概念にとらわれず、小さな“もしも”を仕込み、一杯のビールに昇華させる。その一杯でしか見えない景色をみるために。
こうして誕生したのが「"チオライズド"ベルジャンIPA (Thiolized-Belgian IPA)」です。本作は、チオールという香り成分を放出する酵母と自社のベルジャン酵母を同時に使用した、いわゆるハイブリッドなもので、ベルジャン酵母由来のフルーティーなエステル香と、ホップ由来のトロピカルなチオール香を融合させています。私たちの知る限り、これは本邦初の“チオール化"したベルジャンIPAかもしれません。
複数酵母での発酵には多くの注意すべき点があります。例えば、それぞれの酵母の投入比率はどうするか、どちらかが強くなるような支配的な株は存在するのか、あるとすればどの程度調整すべきか。さらに、必要な酸素量、発酵温度、比重、発酵特性など、酵母ごとに活動ができる最適条件が微妙に異なる点も考慮しなければなりません。多くのリサーチと試験を重ねましたが、このような試みにおいては、最終的に直感や未知の要素も大きく関わってきます。私たちは二つの酵母の強みを活かし、魅力を最大化するために、その中間点を探るように設計しました。
モルトはシンプルに、ピルスナーモルトをベースにし、小麦とデキストリンモルトを少量加えてボディを補強。ホップには、ベルジャン酵母のエステルと相性の良いクラシックなアメリカンホップに加え、チオール含有量の高い品種を組み合わせ、南半球由来のトロピカルな風味を引き出しました。
その結果、驚くことに両酵母は手を取り合うように非常に良い感じに共存し、発酵の過程を通じてそれぞれの個性をバランスよく発揮しました。これにより、香りと味わいに複雑で重層的なフルーティーさが生まれ、一口ごとに新たな発見があります。キャンディー、ストーンフルーツ(核果)、洋梨、マンゴー、パパイヤのようなニュアンスに、柑橘の皮のような全体を引き締める風味も加わり、素晴らしい結果に落ち着きました。
こうした何かと何かを掛け合わせることで起こるシナジー的アプローチには、新しさと特別な可能性を感じており、今後もこの「ひょっと」から未だ見ぬ新世界的ビールを展開していくのが楽しみです。