Kyoto Brewing Co.

帰省の旅 (Homecoming)

私たちが仕込むセゾンの多くは、このスタイルが生まれたベルギーで伝統的に使われてきた原料よりもむしろクラフトビール革命を牽引している世界の地域でとれた原料を使ったものが多かったというのが事実です。ですが、そんなこれまでの流れとは一線を画すべく、今回のビールにおいてはピルスナーモルトとヨーロッパ産ホップを使い、これぞ伝統的なセゾンともいえるスタイルの原点に立ち返るようなビールを目指しました。使用した麦芽は全てドイツ産ピルスナーモルトとし、ホップにはフランス産Aramisとセゾンが全盛期を迎えていた時代に広く使われていたイギリス産のEast Kent Goldingsを選びました。これにより、麦芽が生む澄んだキリっとした特徴の裏にスパイスやハーブ、そして少し草っぽい風味を感じられる、私たちがこれまで仕込んできた中で最も伝統的なセゾンに近い姿を表現すべく役目を担っています。

そして、本来のセゾンがもつ発酵過程で生じる独特な特徴を引き出すべく、”白髪の双子”と同様にベルジャンエールとベルセゾン酵母をあわせて使いました。ですが、前回のやり方に一捻り加えて、30℃というこれまでやったことない高い温度で発酵を進めました。これにより、ハウス酵母が生んだバナナのような特徴がしっかりと下支えし、ベルセゾン酵母が生み出すピリッと口に感じる特徴がビールをスッキリとしたドライな飲み口にまとめ上げています。7%という高いアルコール度数でありながらも、様々な要素が複雑かつうまく絡み合った今回のビールは私たちが思うこれぞセゾンというスタイルに見合ったものに仕上がったように思います。乾杯!

名前の由来: お盆や年末年始などの休暇に故郷に帰り、久しぶりに会う父や母の顔、見慣れた風景や懐かしい匂い、再会した家族や旧友との語らいの中で、自分のルーツがここにあることに改めて気づくことがある。そんな帰省の旅のように、今回のセゾンビールはセゾンのルーツを再確認するビールとなった。

スタイル: セゾン

?

モルト:
Pilsner

ホップ:
ビタリング - Merkur
味・アロマ - East Kent Goldings, Aramis

酵母: Belgian Ale, Belle Saison

ABV: 7.0%

IBU: 23

ガスボリューム (炭酸ガス含有量): 2.6